明導寺さんは一昨年、仏教伝道協会主催の掲示板大賞において見事「仏教伝道協会大賞」を受賞されました。
明導寺藤岡住職の解説と共に6月下旬の掲示板の言葉をご覧ください。
<明導寺 6月下旬 掲示板の言葉>
10本連続で失敗しても ためらわない。
次のシュートが成功すれば 100本連続で成功する
最初の1本目になるかもしれない。 【マイケル・ジョーダン】
本格的な梅雨の季節になり、境内の色とりどりの紫陽花が美しく咲いています。
例年よりも遅く梅雨入りしたこともあり、「熊本県高校総体」は雨の影響もなく開催され、人数制限はありましたが、3年振りに全体での開会式も行われました。
連覇の期待が掛かるプレッシャーを撥ね除け「優勝」を果たした歓喜の表情や、苦難を乗り越えての「栄冠」に涙を流しながら余韻に浸る光景などを目にすると、本人の努力は勿論、多くの方々の支えが活躍の原動力になっているように感じました。
しかし、出場できた喜びよりも、思うような結果が得られず悔いが残っている選手や、大所帯の名門校ともなると、出場すら叶わなかった生徒もいらっしゃることでしょう。
様々なことを犠牲にしてまでも、青春の全てをぶつけてきた「ビッグイベント」において、自分の思い描いた結果を得られる選手は本当に一握りで、大会直後の現在は、悔しい「思い出」として心中に刻まれているのかもしれませんが、これまで努力を重ねてきたプロセスは今後の人生で大きな財産となることでしょう。
さて、お釈迦さまのお弟子さんのひとりで「レレレのおじさん」のモデルとも言われるシュリハンドク(周利槃特)は、自分の名前を覚えることができないほど記憶力が劣っていて首に名札をつけていたとも言われています。
その彼に、お釈迦さまは一本のホウキを手渡し、「ちりを払い、あかを除かん」という言葉を発しながら、ただただ毎日、掃除に励むように指示されました。
始めの頃は上手くいかず、なかなか教えられたフレーズを覚えることができませんでしたが、諦めることなく何度も何度も口ずさみ、掃除に勤しんでいきました。
回数を重ねることで「ちりを払い、あかを除かん」という言葉も定着してきたある日、シュリハンドクが掃除した場所を子どもたちが遊んで汚していたところ「どうして綺麗に掃除をしたところを汚すんだ!」と激怒したのです。
しかし、その瞬間「ちり」や「あか」が積もっている場所が目に見える場所だけではなく、自分の都合により不平や不満を感じてしまう自己の心の中にもあることに気づき、その後も「掃除」という行為を止めることなく20年間も継続し、やがて「阿羅漢(あらかん)」と言われる悟りの境地に到達したと言われています。
私たちは、物事に取り組む際、成功するか否かばかりに目を向けてしまいがちですが、お釈迦さまが地道にコツコツと努力を重ねることの大切さを伝えていかれたように結果にとらわれるのではなく、諦めず継続していくことで成功を手に入れることができるのです。
「何が何でも成功するまで」と意地を張り続けるのではなく、「もう一回」「あと一回」と今に集中してチャレンジしていくことが成功への近道なのかもしれません。