明導寺さんは一昨年、仏教伝道協会主催の掲示板大賞において見事「仏教伝道協会大賞」を受賞されました。
明導寺藤岡住職の解説と共に6月上旬の掲示板の言葉をご覧ください。
<明導寺 2022年 6月上旬 掲示板の言葉>
不満はね ストレスの素よ
感謝は エネルギーになるのよね
【 森 光子 (女優) 】
最近の空の様子を見ると「梅雨入り」間近だということが手に取るように分かり、「令和二年七月豪雨」を経験した地域にとっては、心配する声も多く聞かれます。
山々に囲まれた「三日月型」の人吉・球磨の盆地に、稲作地帯が広がっていることから「田植え」の最盛期を迎えた今、もちろん雨の恵は必要不可欠ですが、河川や大地に被害を残すことなく梅雨が終えていくことを願うばかりです。
さて、今回は女優・森光子さんの言葉を書かせていただきました。
92歳でいのちを終えていかれる直前まで、現役として数々のドラマやお芝居に出演され、多くの方々を魅了してこられた森さんは「国民栄誉賞」も受賞されており、いつも明るく朗らかで柔和な笑顔が似合う印象があります。
長きにわたる役者人生を、「生涯現役」で全うされたエネルギーの源は、「感謝の心」であったのかもしれません。
近年、著しくインターネットが発達し、多くの人がSNSを利用するようになり、コロナ禍にも後押しされたかのように、他人の行動が「見える」時代になってきました。
友人や知人は勿論、タレントや著名人の情報までもが次々に入ってきて、旅行や食事、住まいや家族の状況、他愛も無い日常生活の様子なども知ることができ、実際に会っていなくても、画面を通して会っているような錯覚に陥っている現状があります。
また、苦労せずとも得られる他人の情報によって、
「○○ちゃんは美味しそうなディナー食べてたよ」
「いいなー沖縄行ったんだって!」
「○○さんの自宅見た?スゴイところに住んでたよね」
などの言葉が交わされおり、それらを見ることにより、自分の置かれている状況と常に比較しながら生きているのです。
そこには、他人と自分を比較することによって生じる嫉妬や落胆、優越感はあっても、「感謝の心」は存在せず、情報過多により苦しみを生み出しているように感じています。
お釈迦さまが残された言葉の中で、
「足る(たる)」ことを知っている人は、たとえ地べたに寝るような生活をしていても、心は安らかで幸せを感じている。しかし、「足る」ことを知らない人は、天上の空殿のようなところに暮らしていても、満足感を得られない。「足る」ことを知らない人は、どんなに裕福であっても心は貧しい。
とあるように、自分自身の欲を少なくして「足る」こと知り、それを受け止めていく「少欲知足(しょうよくちそく)」の生き方が大切であると説かれています。
情報源が多く混乱を招きかねない現代だからこそ、他人と自分自身を比較するのではなく、自分自身が生かされている有り難さに目を向けることによって得られる「感謝の心」を大切にしていきたいと思います。