明導寺さんは一昨年、仏教伝道協会主催の掲示板大賞において見事「仏教伝道協会大賞」を受賞されました。
明導寺藤岡住職の解説と共に1月上旬の掲示板の言葉をご覧ください。
<明導寺 令和4年 1月上旬 掲示板の言葉>
歴史は 過去の積み重ね
毎日 ここが 最先端
お寺の境内から見える「市房山」に雪が積もり、寒さ厳しい中で新年を迎えました。
1月4日には「令和二年七月豪雨」から1年半となります。
大きな被害を受けた人吉市は、リニューアルオープンした店舗も増えてきましたが、再興を諦め、被災した建物の解体が進み、随分と景色が変わりました。
未だに住まいも確定せず、仮設住宅で過ごされている方が多くいらっしゃり、
昨年も全国の皆様から多くのお力添えを頂きましたが、今年もご支援を頂きながら、少しずつ復興へ向けて歩んで行きたいと思います。
さて、令和4年のスタートとなる今回は、昨年の年賀状に記載されていたご住職(鳥取市)の言葉を書かせて頂きました。
お伺いしますと、「もともと存在していた言葉にアレンジを加えて書いた」と
謙遜していらっしゃいましたが、改めて有難い言葉だと深い頷きを頂きました。
仏教では、過去や未来ではなく「今をどう生きるのか」を大切にします。
過去を振り返っても、過ぎ去ってしまったものは元に戻せません。
また、未来予想図をどれだけ思い描いても、未来はやってこないように
変えることができるのは、今、この瞬間だけなのです。浄土真宗をお開きくださった親鸞(しんらん)さまは、9歳の時に仏門に入る決心をされ、天台座主のもとをお訪ねになられました。
しかしながら、すでに夜だったので「(僧侶になる)お得度式は明日の朝にやりましょう」と言われた言葉に対して「明日まで待つことはできません」と返された後、
明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは
(今、美しく咲き誇っている桜を明日も見ることが出来ると安心していると、
夜に嵐が来て散ってしまうかもしれない)
という歌を詠まれたと伝わっています。
つまり、親鸞さまは自分のいのちを花に喩えて「今」の大切さを述べられたのです。
以前、こども園の園児たちに親鸞さまのこの歌を紹介した際、
明日の準備を明日するのではなく、今日帰ってからします!
と言ってくれたお子さんがいらっしゃり、思わず笑顔になりました。
「いま ここ」を大切にしながら、自分自身を見つめ行動を起こすことが積み重なり、新たな歴史が築かれていくのでしょう。
2月3日~6日には、宗派を超えて人吉球磨の寺社を中心に「三日月詣」が始まります。
復興へ向けて新たな歴史を刻む1ページにどうぞご参加ください。