明導寺さんは昨年、仏教伝道協会主催の掲示板大賞において見事「仏教伝道協会大賞」を受賞されました。
明導寺藤岡住職の解説と共に9月上旬の掲示板の言葉をご覧ください。
<明導寺 2021年 9月上旬 掲示板の言葉>
キティは相手に感情を押しつけない。
空気のように、そこで見ていてくれる。
それがずっと一緒にいられる秘密 【山口裕子(ハローキティ3代目デザイナー)】
デルタ株が猛威を奮い、コロナ禍の収束どころか、さらなる苦境が続く日本。
これだけ「マスク生活」が長く続くと、マスク着用が大前提となり、
高校生の間では、感染症収束後も「マスクをしていないと落ち着かないし恥ずかしい」とマスクが手放せない生徒が増えるのではないかと予想する声も出始めています。
また、熊本では「くまモン」にマスクを着用させたイラストが多く取り上げられるなど、蔓延防止対策に様々なキャラクターが一石を投じているようです。
しかし、マスクを着用する必要がない(!?)キャラクターが存在します。お分かりでしょうか?
そうです。小さいお子さんから大人まで、幅広い年齢層に人気を誇る「キティ」ちゃん!
口がないキティちゃんには、マスクが必要ないのです。(鼻マスクは必要!?)
キティちゃんに口がない理由をデザイナーである山口さんは、下記のように示されています。
口を描くことによって、キティは固まってしまう。口を描くことで語りかけてくれなくなる。無表情だけど、何かを語りかけてくれる顔。それこそが見ている人にとって癒やしになる。怒っているとか、笑っているとか、泣いているとか、キティは相手に感情を
押しつけない。空気のようにそこで見ていてくれる。それがずっと一緒にいられる秘密。
つまり、口がないのは、見る人によって表情が変わるからという理由であり、
自分の感情が投影されているかの如く、寄り添ってくれる存在だと受け止められていることが世代を超えた人気の秘密なのかもしれません。
私は、毎朝子どもたちと一緒に仏さまの前に座り、お勤めさせていただきます。
娘が5歳の頃、お参りを終えた後、嬉しそうに笑みを浮かべて
「仏さまがニコニコして、うんうんってしよいやる!(していらっしゃる)」と話し、
その言葉を聞いた母親や兄弟たちが自然と笑顔になった出来事がありました。
また、逆に約束した片付けをせず、遊び続けていたことで仏さまの前で叱られた後には、
「仏さまが悲しそうな顔をしといやる。(していらっしゃる)」と言ったこともあり、
その時の自分自身の心境により、仏さまの表情が違って見えていたのでしょう。
日常の出来事から、仏さまは「喜び」も「悲しみ」も共にしてくださる存在だと気づき、
「私はひとりぼっちじゃない」と受け止めることにつながっていったのです。
『観経四帖疏』というお経の中に「学仏大悲心(がくぶつだいひしん)」というご文があり、
この一節から「仏さまの大きなお慈悲のお心を頂いている私たちは、
その仏さまのお心を頂くだけでなく、その真似をさせて頂きましょう」と頂くことができます。
苦しみや悲しみの中にいらっしゃる方に対し、あれやこれやとアドバイスするのではなく、
相手のその思いを唯々共にすることが、今、最も求められていることなのかもしれません。